
結果のポイント
- ヘイトスピーチの規制は、1回目・2回目調査ともに「賛成派」が多い
- 難民受け入れの積極化については、1回目・2回目調査ともに「反対派」が多い
- ただし政党支持者ごとに傾向が大きく異なる
「賛成派」が多かった政党支持者の中でも、2回目調査にかけて「どちらともいえない」「反対派」が増加
7月20日は参議院選挙の投票日です。チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の政治に関わる意識を明らかにするため、継続調査を実施しています。第1回目の調査は7月4日~5日に実施。第2回目は7月11日~14日に実施しました。実施方法の詳しい情報は、以下をご覧ください。

本記事では、「ヘイトスピーチ対策」と「難民受け入れ拡大」という、二つの外国人関連の政策を取り上げます。
罰則ありのヘイトスピーチ規制法制定:1回目・2回目調査ともに賛成派が多数

まず第1回調査での全体の傾向です。「ヘイトスピーチに対する罰則を与える法律を作るべきだ」について、「反対派」(反対、やや反対の合計)は13.6%、「賛成派」(賛成、やや賛成の合計)は48.5%。全体としては、賛成派が反対派を大きく上回っていました。
約1週間後に実施した第2回調査の全体の傾向では、反対派は15.5%に対し、賛成派は44.4%となっていますが、全体の平均自体は第1回目調査からそれほど大きく変化していません。
ヘイトスピーチ規制:自民は賛成多数、国民民主は中立が最多
第1回目調査の結果を各政党別に見てみましょう。

自民党支持者の中でも、「賛成派」が56.3%となっています。立憲民主党や日本共産党では、さらに「賛成派」が多くなります。
一方で国民民主党は、状況が異なります。「どちらともいえない」の割合が最多となり、「反対派」の割合が24.2%と、回答者全体の傾向と比較しても反対傾向が強くなっていました。
参政党、日本保守党支持者では、「賛成派」が少なくなり、「反対派」が多くを占めています。
ヘイトスピーチ規制「賛成派」が後退:公明党・れいわ新選組支持者層
しかし、支持政党別に見ると、第1回から第2回目の調査までの短期間に比較的大きな変化を見せた政党もありました。

たとえば公明党支持者やれいわ新選組支持者の間で、ヘイトスピーチ規制「賛成派」が後退している様子が表れています。また参政党支持者は、第1回目時点でも多かった「反対派」の割合が、さらに上昇しています。
難民受け入れの積極化:1回目・2回目調査ともに反対派が多数

難民受け入れを積極的にすることについてはどうでしょう。第1回目調査では全体の傾向は、「反対派」は34.5%、「賛成派」は26.4%と、「反対派」の方が多い結果となっていました。
第2回目調査の全体傾向は、「反対派」が38.4%、「賛成派」が22.1%(「賛成」6.0%、「やや賛成」16.1%)で、1回目と比べやや反対派が増える形になっています。
各政党ごと大きく異なる難民受け入れへの態度
各政党ごとに見てみると、この政策賛否に関して、その傾向が大きく異なります。まずは第1回目の調査から確認していきましょう。

自民党では「どちらともいえない」が最多ですが、立憲民主党や共産党は「賛成派」が多数を占めます。
れいわ新選組は、支持者の間でも判断が割れています。「賛成派」、「どちらともいえない」、「反対派」で、それぞれ三分する結果になっていました。参政党、日本保守党は圧倒的に「反対派」が多い状況です。
支持政党別にみた変化はどうでしょうか。

第1回目調査から第2回目調査にかけて、「反対派」が減り、「賛成派」が増えたのは日本維新の会だけでした。他の政党では、概ね、「反対派」が増え、「賛成派」が減る、という動きになっています。
「外国人」が議題設定される参院選、変わる政党支持者の動き
二つの政策を合わせてみるとどうでしょう。たとえば立憲民主党や共産党の支持者では、ヘイトスピーチ規制も難民受け入れも、いずれも「賛成派」が多くなっています。
他方で維新は、ヘイトスピーチ規制は「賛成派」が多いものの、難民受け入れとなると「反対派」が増加。国民民主も、難民受け入れへの「反対派」の割合が多くなっています。
参政党や日本保守党は、二つの政策いずれも、「反対派」が多い結果となり、外国人政策に関しては一貫して頑な傾向が表れました。
そして参政党はヘイトスピーチ規制で、日本保守党は難民受け入れの賛否で、2回目の調査にかけて反対派が増える、という動きになっています。
一部政党などにより「外国人への対応」が議題設定され、各党がそれに応じる格好になっている2025年の参議院選挙。各政党支持者の動きも、この潮流に「引っ張られて」変化しているように見えます。
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