
結果のポイント
- テレビ・新聞・YouTubeが、選挙情報の重要参照先となっている
- 選挙序盤から中盤にかけて、ほとんどの政党支持者で、SNS動画の視聴量が増えていた
7月20日は参議院選挙の投票日です。チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の政治に関わる意識を明らかにするため、継続調査を実施していきます。この記事では、7月4~5日に実施した調査データを用いて、選挙戦序盤の状況について分析して報告します。
また、本記事の最後には7月11~14日に実施した第2回調査データの結果も掲載しています。調査方法の詳しい説明は、以下をご覧ください。

普段からYouTube、選挙もYouTube
2024年の東京都知事選、衆議院選挙、兵庫県知事選などでも、選挙におけるSNSの役割が注目されてきました。そして先月行われた東京都議会議員選挙でも、その影響力は無視できないものになっています。こうしたSNSの影響力を前提に、今回の参院選での人々のメディア接触状況を調査しています。
まずは、普段のSNS等の利用頻度です。「あなたは普段の生活で、次のSNSをどのくらい見ますか」という質問に対する回答は、次のようなものでした。

SNSの中で突出して最も利用されているのがYouTube、そしてYouTubeショート動画です。また、YouTube live、Instagamの投稿、ストーリーズ、X(旧Twitter)の投稿も、3割程度の回答者が日常的に利用していました。
さまざまな情勢調査では、個別のSNSについて接触状況を調査することはあっても、ショート動画やライブ配信など、動画形式や配信形式にまで着目することはほとんどありません。
しかし、SNS上で、フォロワーやチャンネル登録者など、「自ら検索して特定の情報にアプローチする層」以外の不特定多数に情報を届けるには、ショート動画などの存在が重要となっています。今回の結果からは、こうした「ショート動画」文化の広がりも、確認できる結果となりました。
選挙期間に、選挙情報に触れたメディアは?
次に、選挙期間が始まった時点で、人々がどのようなメディアからどのくらいの時間、選挙情報を得ていたのか、確認してみましょう。

最も触れられているのがテレビ、その次が新聞、そこに続くのがYouTubeです。今やYouTubeで選挙情報を得ることは、当たり前の風景となっています。回答者の3割近くの人々は過去1週間に、YouTubeで30分以上、選挙情報に触れていました。
「よく参考になった」もYouTube、テレビ・新聞の影響力も
では、それぞれのメディアから得られた選挙情報に対して、実際、どれほど参考になったと感じているのでしょうか。それぞれのメディアに接触した人の中で、各メディアで得た選挙情報への、その評価をみてみます。

「ある程度参考になった」までを含めれば、テレビ、新聞の影響力は現在でも非常に大きいことが確認できます。
一方で、YouTubeは、他メディアと比べて、「よく参考になった」と答える割合が一番高く、13.1%となっています。YouTubeは視聴者に対して、「より深く突き刺さる」ような参照対象となっていることが明らかになりました。各政党はネット戦略に力をいれていますが、とりわけYouTubeが大きな舞台となっています。
各政党の動画はどれだけ届いているのか?
では、各政党の動画は、どの程度、人々に届いているのでしょう。まずは7月4~5日に行った第1回目の調査結果をみてみましょう。

上記のグラフは政党ごとの過去1週間に動画を見かけた割合です。調査では「過去一週間ほどで、あなたは、以下の政党・政治団体の動画をインターネットやSNS上で、どのくらい見かけましたか。」と質問をしました。また、「サムネイルを見ただけとか、動画が流れてきて5秒くらい目にした場合」を「見かけた」と定義した上で質問しています。
そして続くグラフは政党ごとの過去1週間に動画を視聴した割合です。先の質問の「見かけた」の部分を「視聴しましたか」に変え、質問しました。

各政党ごとに、「見かけた頻度」、「視聴時間」にそれなりの差がありますが、全体としてはそもそも、動画を見ていない人が多数でした。
「よく見かけた」が伸びたのは、れいわと参政党
さて、チキラボが今回行っている調査は、パネル調査というものです。これは、同じ調査対象者に対し、第1回、第2回、第3回と、複数の時期にわたって継続的にアンケートをとるというものです。
今回の調査では、7月4~5日に行った1回目調査の回答者に対し、7月11~14日に、さらに追加の調査を行っています。2回目にも回答した、有効回答者の1500名の分析結果から、この後の一週間で、政党動画を「見かけた頻度」や「視聴時間」にどのような変化があるのかを見てみましょう。

選挙前半から中盤にかけて、政党の動画を「見かけた」割合に、変化はあるでしょうか。
上記のグラフは、2回目の調査結果です。各政党の棒グラフの下に▼または△の表記と数値が記載されています。これは、第1回目調査からの増減ポイントを表ています。▼が減少ポイントを、△が増加ポイントを示しています。
動画の「見かけた頻度」は、多くの政党で増加傾向にありました。すべての政党で、「全く見かけなかった」がマイナスとなっており、頻度に差はあれど、動画との接触機会が増えています。
そして第2回時点でも、自民党や立憲民主党、国民民主党の動画の「見かけた頻度」は高い状況にあり、第1回目時点からの伸びも確認できます。
「よく見かけた」に着目すると、この1週間で増加ポイントが多かったのは、以下の二つの政党です。
- れいわ新選組 9.5%(+5.0ポイント)
- 参政党 10.9%(+4.5ポイント)
「YouTube政治」のプレゼンスがますます上がっている中での参院選。各党の発信が立直する様子が、データから見て取れます。
本調査は、マンスリーサポーターのみなさまのご支援により、
計画・実施することができました。心より感謝申し上げます。
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