性暴力が発生しやすい部活動
ここ数年で、教員の性暴力事案が、いくつも報じられています。
- 2025年7月、福岡県の県立高校教員が部活動後に着替えをしている女子生徒を盗撮。
- 2024年10月、兵庫県の中学校教員が女子更衣室でボールペン型カメラを設置して盗撮。
- 2022年4月から9月までの間、埼玉県の中学校教員が部活動合宿の宿泊施設内で生徒らを盗撮など。
- 2020年、沖縄県の中学校教員が、顧問をしている部活部員にマッサージと称してわいせつ行為。
文部科学省の令和6年度「公立学校教職員の人事行政状況調査」によれば、「性犯罪・性暴力等」を理由に懲戒処分を受けた教職員は281名。そのうち、児童生徒等に対する行為で懲戒処分を受けた者は178名で、全体の63.3%でした。
また、文部科学省の同調査では児童生徒への加害場面についても調査しており、60.4%(81名)は「その他勤務時間外」となっています。対して、生徒が学校に留まる時間帯では、13.4%(18名)が放課後、6.0%(8名)が部活動で比較的多くなっています。
グラフ:文部科学省の令和6年度「公立学校教職員の人事行政状況調査」>「2-5-1.性犯罪・性暴力等に係る懲戒処分等の状況(教育職員)(令和6年度)」>「(9)児童生徒性暴力等が行われた場面」より転載
冒頭に提示した数件の事例、これらはいずれも部活動に関わる近年の事案としてピックアップしたものです。事例から示唆されるのは、更衣室における着替えのタイミングで盗撮が発生していたり、指導を理由に部活動顧問との身体接触を可能とする状況が作られやすかったり、「合宿」という第三者の目が届きにくい場面が発生するなど、部活動ではセクシュアルハラスメントや性暴力行為が発生しやすい状況が存在することが示唆されます。
表現者の六人に一人が、中学部活動の指導者から「性的な嫌がらせ」
部活動でのセクハラや性暴力の状況を、チキラボが「表現の現場調査団」と共同実施した調査データでも確認しましょう。 これは、2023年10月に実施した「表現の現場」で働く人々を対象とした調査データです。18歳〜20代と回答した方で、中学校時代の部活動加入者(61名)および高校時代の部活動加入者(55名)についての回答結果を確認します。調査の詳細は、文末に記載しています。
この調査では「指導的立場にある人から、性的嫌がらせや性的暴行を受けた経験」の有無をききました。
被害経験率は中学校の部活動においてやや高く、「頻繁にあった」および「たまにあった」と回答した割合の合計は16.4%に上ります。なお、高校の部活動における同割合は12.7%となっています。

もちろん、「性的嫌がらせ・性的暴行」という聞き方は幅広く、日常会話での性的からかいや、懲戒処分の事例となるようなものまで含みます。また、表現者を対象にしたデータであるため、部活動全体の傾向を把握できるものではありませんが、指導者による性的な理不尽行為が2010年代から2020年代前半に少なくない頻度で存在していたことは確認できます。
部員間ハラスメント、高校で経験率高い傾向
性的な理不尽行為は、部活動顧問や指導者によるものだけではなく、部員間でも行われています。
中学校部活動では8.2%が被害を経験。そして高校部活動になるとほぼ倍増し、14.5%が被害を経験しています。

中学校部活動時代は指導的立場の人からの性的理不尽行為を受けやすいですが、高校になると部員からもそうした行為を受けやすくなる様子もみられます。性的理不尽行為の加害側に回る可能性のある人が増えるといえる状況が生じる可能性があります。
政府は部活の安全に関わる調査を
近年、子どもの性暴力を防ぐため、法制度が整備されつつあります。
2021年6月に「教員性暴力防止法」が、2024年6月には「子ども性暴力防止法」が成立しました。教員による性暴力は、これらの法律によって歯止めをかけることが必要です。
一方で2025年11月21日配信したこちらの記事でも言及したように、部活いじめの発生場所調査はなされておらず、性暴力やセクハラ対策からも見落とされがちです。部活動が持つリスクがどのようなものなのか。その実態の解明に、政府調査の役割が不可欠です。
【調査概要ーー表現の現場ハラスメント調査】
- 表現の現場調査団とチキラボによる共同調査
- 2023年10月に実施
- 「表現の現場」で現在活動している方々を対象。ここで「表現の現場」としたのは、「美術」、「演劇・パフォーマンス・ダンス」「映像・動画・映画」「デザイン」「音楽」「文芸・ジャーナリズム」「写真」「アニメーション」「ゲーム」「マンガ・イラスト」「建築」「服飾」「お笑い」「工芸・伝統芸能・伝統文化」のいずれかの分野。
- 2023年10月の調査当時、表現活動を行なっており、表現活動での収入もある方を対象とした349ケースをこの記事では使用。
- この調査では、そうした方々の中学校・高校時代の部活動、そして18歳までの習い事の経験の中で指導者および部員からのどのような理不尽行為をどのくらい経験したのかを調査している。
▼詳しくはこちら
- 調査結果を見ていただく際には、以下の点に注意が必要です。
- 表現の現場で活動する方々の何らかの傾向性を反映している可能性があります。そのため、一般の傾向として数値を見ることはできません。
- 主観的な経験頻度を回答してもらっています。そのため、正確な発生頻度を示すものではありません。