
2025年7月20日、参議院議員選挙の投票・開票が行われました。チキラボでは投票締切り後から翌日7月21日までに調査を実施。本記事では、参院選の投票で、人々はどのようなテーマを重視したのか、紹介していきます。
調査手法とデータの詳細についてはこちらからご確認ください。
「物価高対策」重視が8割、「外国人に関わる政策」も5割が重視

今回の投票で、有権者はどの政策テーマを重視したのでしょうか。今回の調査では、直近の国会で大きなテーマとなっていたものや、選挙期間中に注目されたテーマをピックアップしました。その中でもっとも重視されていたのは、「物価高対策」。そして、「医療・年金・社会保険政策」「食料・農業政策」も、多くの人が重視していました。
一方、選択肢に挙げた政策の中で最も「重視する」を選んだ人の割合が低かったのは「ジェンダー政策」でした。ただし、「気候危機政策」や「エネルギー政策」を含め、人々は複数のテーマに優先度をつけながら投票先を検討しているとも言えそうです。
重視する政策テーマと政党支持傾向
では、政策テーマごとに、比例区で各政党投票者が「かなり重視した」+「ある程度重視した」割合を見てみましょう。

例えば下記のような傾向が見られました。
グラフからわかる「重視する政策テーマと投票先政党傾向」
- 「物価高対策」:立憲民主党の割合がやや高くなる傾向
- 「安全保障政策」:自民党に入れる傾向がやや強まっている
- 「外国人に関わる政策」:参政党や日本保守党の割合が高まる
- 「ジェンダー政策」:国民民主・自民党の割合が下がり、立憲民主党の割合がやや高まる
- 「環境問題や気候危機」:立憲民主党に加え、公明党の割合も若干ではあるが上昇
今度は、比例区での投票先政党別に、投票者が各政策テーマをどの程度重視していたのかを見てみましょう。
物価高対策 「かなり重視した」国民民主・れいわ・共産党の投票者

「物価高対策」では、国民民主党やれいわ新選組、そして日本共産党の「かなり重視した」割合が目立ちました。
「安全保障政策」「憲法改正」 「かなり重視した」日本保守党

「安全保障政策」「憲法改正」で「かなり重視した」の回答が目立つのが日本保守党。れいわや立憲の投票者には、あまり重視されていませんでした。

立憲投票者・維新投票者では、憲法改正を「かなり重視した」割合は低い傾向。独自の憲法案を選挙直前に出した参政党ですが、「かなり重視した」割合は、同じ右派政党である日本保守党と比べ、半数以下です。
参政党支持者が重視したのは「農業」より「外国人政策」?
「食料・農業政策」については、「かなり重視した」と答えた人の割合が日本維新の会では特に低くなっています。

また、参政党はこれまでオーガニック・有機農業を訴えていたにも関わらず、重視したとする回答は他党と比べてあまり変わらない割合です。一方で「外国人に関わる政策」に関しては、「かなり重視した」との回答が他党よりも高く、日本保守党と並んでいました。このことからも、参政党は投票した人からも、「オーガニック」より「反外国人」の政党として認識されていることがわかります。

「医療・年金・社会保険政策」維新の政策と有権者の関心にギャップ
「医療・年金・社会保険政策」をみてみましょう。政策集の1ページ目で強調するなど、「社会保険料の改革」を強く訴えていた日本維新の会。しかし、維新の投票者の中でこの政策を「かなり重視した」と答えた人の割合は、他党の投票者よりも低い結果となりました。

「子育て・教育政策」についても、日本維新の会に投票した人の中でこの政策を「かなり重視した」と答えた割合は、他党と比べて低い水準にとどまりました。
また、この割合が維新よりも低かったのは、公明党のみでした。

「ジェンダー」「エネルギー」「環境問題」重視したのはどの政党投票者?
票につながりにくいと言われる「ジェンダー政策」、「エネルギー政策」、「環境問題」。「かなり重視した」とする割合は、政党によって差がみられます。



全体として、やはり「物価高対策」が重視されたと言える今回の参議院選挙。今回の選挙結果を受けて、政治は迅速な応答が必要だと言えるでしょう。
本調査は、マンスリーサポーターのみなさまのご支援により、
計画・実施することができました。心より感謝申し上げます。
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